孤独死を防ぐために、一人一人が今できること
一般社団法人高齢者の住まいと暮らしの支援センター

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孤独死を防ぐために、一人一人が今できること

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先日、「教えて!goo」で「孤独死って怖いですか?」という記事を配信した。ここではさまざまな意見が交わされたが、出来ることなら最期を迎えるまで、誰かとともに過ごしたいと願うのはごく自然な感情なのではないだろうか。

 

そこで、若いうちから心がけることや、孤独死してしまう人に特徴はあるのか、といったことを専門家が解説。話を伺ったのは、老人ホームや介護施設の入居者紹介事業を手掛ける株式会社ケアプロデュース代表で、一般社団法人高齢者の住まいと暮らしの支援センター副理事長の安藤滉邦さんだ。

 

 

金銭的余裕の無さが選択肢を狭める

「一昔前は子供・父母・祖父母の3世帯と同居するのが一般的な世帯でした。そこでは長男が家を守り親の面倒をみるという風習で、第三者に介護をお願いすることはありませんでした。その家族生活が様変わりし、近年は、子供が大学進学、就職して自宅を離れ、残された老いた親は死別や離婚で一人暮らし。そして孤独死も増えています。また、片方が亡くなった片親と、離婚か独身生活の子供だけの世帯が増え、子供の介護離職をきっかけに生活保護に発展することも社会問題となっています」(安藤さん)

このような社会背景の中で、孤独死しないために気を付けるべきことはあるのだろうか?

「孤独死しやすい人の特徴として、残念ながら経済力が挙げられます。老後の金銭的余裕があれば人生設計も広がりますが、経済力がなければ行動範囲さえ限られ、楽しみが持てない日常生活になります。貯蓄も収入もない男性は、定年後の熟年離婚や別居で孤独死につながる要因のひとつと考えられています」(安藤さん)

経済力がなければ、施設への入居なども厳しくなる。やはり、将来に備えた蓄えをしておくことがリスクヘッジになるようだ。

男性の方が孤独死するケースが多い?

当然だが、結婚して子供がいる人ほど孤独死のリスクは下がるだろう。

 

「私見ですが、よき伴侶を見つけることは大切です。伴侶がおらず親の面倒をみるようなことになれば、いずれ自分も単身で老後を迎え孤独死を迎える可能性は高いと思われます。将来の老いた自分の単身生活をイメージし長寿リスクを念頭にいれ、後悔しないためにも、自己責任として自ら切り開く準備が大切と思います」(安藤さん)

しかし、たとえ結婚したとしても、妻に先立たれた場合や離婚した場合はひとりの老後が待っている。特に男性は精神的に大きなダメージを負い、それが孤独死につながるケースもあるのだそうだ。

「配偶者を失くし一人になった時には誰もが一人暮らしの生活に不安を感じますが、この気持ちを引きずって孤独感から孤立化に進む人が孤独死に繋がる可能性があります。特に男性に見られます。また、高齢男性は、世帯生活の変化に適用できず、今も料理や洗濯・掃除など家事全般は女性がやるものだと決め付け、台所さえ立ったことがない人は孤独死になりやすい傾向があります。高齢離婚や死別した際に、栄養障害や衛生環境が悪化しても家族や他人の助けを求めることができず、孤独死してしまう男性は多いです」(安藤さん)

家族だけでなく、地域とのコミュニケーションも重要なカギとなる。

「孤独死をする高齢者の多くはコミュニケーションが苦手で、地域や家族と疎遠になっていきます。定年退職後は社会との接点が急激に減り、段々地域からも見放されたという気持ちに変わり、孤立しやすいです。近所の方でも挨拶すらしない、仕事以外に趣味もなく、会話ができる人もいない。自宅で引きこもる日々が続けば、孤独感が増すでしょう」(安藤さん)

だが、そんなことは十分わかっているが、子供に面倒をみてほしくない、近所付き合いも煩わしい……という人も大勢いるはず。そんな人はどうしたらよいのだろうか?

「何か困ったときに頼れる人がいないという方には、施設生活をおすすめします。保険制度の複雑化や高齢者ニーズの多様化によって、高齢者の住まいも多種多様です。まずは施設の種類や選び方を学習し、施設見学にも参加することも大切です」(安藤さん)

今や、必ずしも家族に介護してもらわなくてはならないという時代では無くなった。混沌とした社会情勢のなか、自らの選択肢を広げていくことも肝心と言えそうだ。

専門家プロフィール:安藤滉邦

2013年、元厚生大臣藤本孝雄氏と「一般社団法人高齢者の住まいと暮らしの支援センター」を設立、副理事長に就く。「高齢者の住まい選び専門員養成講座」講師と後見業務に従事。翌年、公益社団法人かながわ福祉サービス振興会の「高齢者すみかえ支援相談員養成講座」の開発と講師にも携わる。

 

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